【設定・検証】閉域SIMは本当に閉域なのか?Peplinkルーターの設定・検証・ボンディングまで解説

はじめに
前回の記事では、閉域SIMの基礎知識を解説しましたが、
実際の運用では「設定して動くようにする」「本当に閉域になっているかを確認する」ことが重要です。
本記事では、前回に引き続きミーク株式会社様よりお借りした閉域SIM(SIM コネクトプラン)にて下記を確認しました。
① 閉域SIMをPeplinkルーターで使うための設定
② 閉域SIMがインターネットに出ないことを実測で確認する
③ Peplinkルーターの機能を活かして冗長性・安定性を高める構成
という3つのステップを解説します。
検証環境

本検証では、以下の構成で確認を行いました。
- MAX BR2 ×2台
- 閉域SIM(ミーク株式会社様 SIM コネクトプラン)×docomo,Softbank,au1枚ずつ
- MAX BR2同士でのSpeedFusion VPN構築
- 検証端末:Windows 11 PC
閉域SIMはインターネットに直接出ることができないため、
機器間でSpeedFusion VPNを構築し、閉域網内通信を確立できるのか試していきます。
1. 閉域SIMをPeplinkルーターで使えるようにするには
Peplinkルーターでは、通常SIM、閉域SIM問わず、APNを正しく設定しなければ通信が確立されないケースが多いです。MNO/MVNOから提供された接続情報を手動で設定する必要があります。設定が必要となる主な情報は以下の通りです。
- APN名
- 認証方式(PAP / CHAPなど)
- ユーザー名・パスワード
- DNSサーバー情報(指定がある場合)
SIMを挿すだけでは通信は成立しないという点が、最初の重要ポイントです。
①APN設定

Cellular Settingsより「Custom」を選択し、提供されたAPN情報を入力します。次にDNSサーバー情報についてみていきましょう。
② DNSサーバー設定

キャリアから指定されたDNSサーバーアドレスを入力します。通常SIMであれば、DNSサーバーの設定をせずに繋がるケースがありますが、今回の閉域SIMでは、キャリアより指定された閉域網内DNSサーバーを設定する必要がありました。DNSサーバーのアドレスを設定しない場合、IPレベルで通信が確立していても名前解決が行えず、正常に接続できませんでした。
上記より、APNとDNSサーバーのアドレスを正しく設定して初めて、閉域SIMで安定した通信が確立されます。
次に接続できた閉域SIMが、本当にインターネットに出ずに、閉域になっているのかを検証していきます。
2. Google DNSサーバーへの通信

GoogleのDNSサーバーのアドレスである、8.8.8.8へPingを実行したところ、要求はタイムアウトしました。

さらにtracerouteでも途中で停止し、宛先へ到達できません。
これにより、本閉域SIMはインターネットへは到達しないことが確認できました。
閉域網内のDNSサーバーとの通信

閉域網内のDNSサーバー(キャリア指定IP)へPingを実行しました。すると、先ほどとは異なり
宛先ネットワークへ到達できているのが分かります。さらにtracerouteも試しました。

GoogleへのDNSサーバーへの通信とは異なり、最後に「トレースを完了しました。」と表示されており、こちらでも宛先ネットワークへ到達できていることが分かります。
閉域網内のDNSサーバーへの通信ができることが分かったところで、ボンディングは可能なのでしょうか。
3. 閉域SIMのボンディング
お客様から「キャリア回線同士のボンディングは可能でも、閉域SIMでのボンディングは可能なの?」とお問い合わせを頂くことがあります。結論から、閉域SIMのボンディングは可能です。
グラフの見方についてはこちら


弊社環境でボンディングを実施した結果、
- アップロード:24.37Mbps
- ダウンロード:10.68Mbps
の帯域を確認しました。
今回の検証では、閉域SIM環境においてSpeedFusionによるボンディング通信が成立することを確認しました。
※本検証は弊社検証環境にて実施したものであり、契約内容やネットワーク構成により挙動が異なる場合があります。
通信を止めないためのネットワーク設計
閉域SIMはセキュアな通信経路を提供しますが、回線そのものは単一キャリアに依存します。
そのため、安定した通信を維持するためには回線構成の設計も重要になります。
- キャリア障害
- 電波状況の変動
- パケットロス
- 一時的なスループット低下
といったリスクは依然として存在します。
SpeedFusion VPNを利用することで、
- 複数回線を束ねて、パケット単位で分散する
- パケットコピーによるパケットロスや遅延耐性向上
- リアルタイム通信の安定化
といった効果を得ることができます。
実際の業務用途でのメリット
ボンディング構成により、
- リモート監視システムの安定運用
- クラウド接続の継続性確保
- 映像伝送の途切れ防止
- IoTデータの安定収集
といった業務基盤の信頼性を高めることが可能です。 閉域SIMは「閉じた回線」ですが、
Peplinkと組み合わせることで「止まらない閉域ネットワーク」へと進化させることができます。
おわりに
本記事では、Peplinkルーターを用いた閉域SIMの導入手順から、実測による閉域性の確認、さらに冗長化・ボンディング構成までを解説しました。
閉域SIMは「インターネットに出ない」という特性だけでなく、正しい設定と検証を行うことで、セキュアかつ高可用なネットワーク基盤として活用することができます。
検証にあたり、閉域SIMをご提供いただきました ミーク株式会社様に、この場を借りて心より御礼申し上げます。
今後もCASOでは、実機検証に基づく情報発信を通じて、より実践的なネットワークソリューションをご紹介してまいります。
閉域SIMやPeplink構成についてのご相談がございましたら、下記よりお気軽にお問い合わせください。













