Peplinkルーターでボンディングを使用しなかった場合の回線切り替え速度は異なるのか?切り替え速度を検証してみた!

Speed Fusion VPNを構築いただくことで、シームレスな回線切り替えが可能なPeplinkルーターですが、こんなご質問をいただいたことがあります。
「Speed Fusion VPNを構築しない場合の切り替え速度ってどれぐらいなの??」と。
本記事では、Peplinkルーターの独自技術であるSpeed Fusion VPNを使用しない場合の切り替え速度について確認していきます。
そもそもボンディングとは?
Peplinkルーターを2台以上ご使用いただくことで、Peplinkルーターの独自技術であるSpeed Fusion VPNを構築することが可能です。Speed Fusion VPN技術の一つに、複数回線を集約することが可能な機能(ボンディング)があります。複数回線を集約=複数回線を同時使用することによって、各帯域に負荷分散を行い、セッションを途切れさせることなく回線を切り替えることが可能になります。通信の冗長化や安定性を求める際には必須の機能となります!
ボンディングなしの回線切り替え速度について
下記画面はPeplinkルーターのWeb Admin(本体設定画面)です。
Priority1にCellular1が、Priority2にCellular2があることが分かります。
通信障害や電波障害を意図的に起こすのは不可能なため、物理的にCellular1のSIMカードを抜きます。
すると、10秒ほどでPriority2にあったCellular2の回線に切り替わっています!
また、WANからCellular への切り替えの場合は、2,3秒ほどで切り替えが可能です!
このようにSpeed Fusion VPNを構築せずとも、十数秒単位の通信切り替えは可能です!
Cellular 1からCellular 2に切り替えた場合

WANからCellular 2へ切り替えた場合

※ルーターのハードウェアスペックにより回線切り替え速度には差異がございます。
※Web Adminの「Health Check Settings」の設定により切り替え時間は異なります。
※Health Check Settingsの設定を変更することで、微小なパケットの増減が発生いたします。
ボンディングなしの切り替え速度を向上させる方法と注意点
Peplinkルーターには「Health Check Settings」という項目があります。
「Health Check Settings」では、ヘルスチェックの方法やヘルスチェックを行う間隔などの秒数を設定することができます。
デフォルトのSmart Checkというヘルスチェックの方法では、以下の範囲で設定可能です。
今回の検証では、以下の設定で回線切り替えの検証を行いました。
項目 | デフォルト設定範囲 | 検証時の設定 |
---|---|---|
ヘルスチェックの方法 | Smart Check | Smart Check |
Timeout | 1秒〜10秒 | 5秒 |
Health Check Interval | 5秒〜1時間 | 10秒 |
Health Check Retries | 1〜20回 | 3回 |
Recovery Retries | 1〜20秒 | 3秒 |
上記の各設定間隔を短くすれば、より速くWAN回線の切り替えが可能になりますが
ヘルスチェック用のパケットを送る回数が増えるので
SIMの月使用量が増えたり、通信環境が悪いと誤認識する可能性も出てきます。
Health Check Settingsの設定画面

ボンディングなしの場合の活用例
ボンディングなしで数秒~数十秒で回線切り替えできるなら、「ボンディングしなくてもいいじゃん!」というお声が聞こえてきそうですが、実際その通りです!
映像伝送や音声配信などのリアルタイム用途でなく、通信切り替え時にダウンタイムが発生しても問題ない場合には、ボンディングを含むSpeed Fusion VPNの技術をご使用いただかなくても、Peplinkルーター単体で冗長化通信を行うことが可能です!
まとめ
本記事では、ボンディングを使用しなかった場合のPeplinkルーターの回線切り替え速度について確認してきました。改めて検証結果をおさらいすると
CellularからCellularへの切り替えは、10秒
WANからCellularへの切り替えは2,3秒 という結果になりました!
Peplinkルーターの独自技術であるSpeed Fusion VPNを用いたボンディングを使用しなくても、用途によってPeplinkルーター単体でご使用いただいても問題ない事をご確認いただけたかと思います。
映像配信や音声伝送などのリアルタイム通信が必要な場合には、ボンディング技術をご使用いただくために、2台以上のPeplink製品を用いてSpeed Fusion VPNの構築を。
数十秒程度のダウンタイムを許容できる場合には、Peplinkルーター単体で
ヘルスチェックの方法を設定いただくことで、スムーズな切り替えが可能です。
本記事をご参考いただき、皆様がより快適なPeplinkライフを過ごせるよう願っております。