雪の中のStarlink、実力はいかに?

技術情報Peplink,Starlink,検証

starlink-snow-test

桜の開花予想も出て、ようやく春が見えてきました。

今年の冬も非常に厳しい寒さで、関東でも雪が降りましたね。

そんな雪のちらつく悪天候の中Starlinkの接続検証を行うことが出来たので、その結果をまとめました!

悪天候下のStarlink検証

■検証日時:2025/03/03 (月) 13:00~16:00

■天候:☔/⛄

■使用機器:

  • Peplinkマルチ回線ルーター MAX HD4 MBX *2台
  • Starlink *6台
  • SIM *4枚

協力会社様の屋上をお借りし、Starlinkを設置しました。

Starlinkは防水ですが、各ケーブルのコネクタ部分は防水でないので素早い設置が重要です。

防水対応ではないPeplinkと作業者は屋内に配置し、対策を行いました。

全てのアンテナを電源に接続したところ、問題なく衛星を掴み、通常通りの動作が確認できました。

雪雲の厚さでもへっちゃらですね。

Starlinkの速度検証

今回は別件での検証に向けたStarlinkの動作確認と、悪天候下のStarlink速度検証を行いました。

本記事では以下2パターンの測定結果を報告します。

パターン1 Starlink1台 ⇔ Starlink3台+SIM*4枚

パターン2 Starlink3台 ⇔ Starlink3台+SIM*4枚

結果と考察

今回検証した2パターンの結果は以下のようになりました。

こちらの結果は構成図の左側の機器でスループットを測定しています。

これまでは晴れの日しか検証したことがなかったので、雪ではスループットや接続の安定性に影響が出るのではと心配していました。

しかし、想像以上のパフォーマンスが見られ、低軌道衛星の強みを再確認できました。

また、本検証がこのような結果に繋がった要因を探るため障害物率等を確認してみました。

PeplinkとStarlinkは公式連携しているため、クラウド管理プラットフォームであるInControl2から、WAN情報としてStarlinkの一部のステータスを後から取得することができます。

取得できるステータス抜粋

項目(EN)項目(JA)
Outage Reason障害原因
Obstruction Sky障害物率
Obstruction Time遮蔽時間
PoP Ping Latency※PoP Ping 遅延
PoP Ping Drop RatePoP Ping ドロップ率
Boresight Azimuth照準軸方位角
Boresight Elevation照準軸仰角

※地上基地局までの遅延時間

下記は測定をした14:00~16:15までを対象に、InControl2から取得したデータの中央値を表形式でまとめたものです。

Starlink No障害物率(%)遮蔽時間(%)PoP Ping 遅延(ms)PoP Ping ドロップ率(%)
100340
200340
300290
465340
50.90350
600330

Starlink No.4は障害物率が5~10%程と検知されているが、残りの5台は1%未満となっていました。

これは物理的な障害物が占める割合であり、雲などの気象条件の変化は数値に反映されません。

Starlinkが用いているKu/Ka帯は、雨衰減(レインフェード)と呼ばれ、雨や雪による信号減衰の影響を受けやすい周波数帯を使用しています。

ソース

しかし実際にスループットはVPNのオーバヘッドが(約18%)かかっている状態でもUPが10Mbps程度出ており、本検証時は回線断も人の感覚では分からないほどでした。

これはSpeedFusionVPNを用いたボンディングによって回線を束ねていた効果の影響もあると思います。

まとめ

今回の結果から言えることは、Starlinkは天候の影響も受けるが物理的な障害物に非常に影響を受けやすいことがうかがえます。

住宅街の道路、周りに高いビルや木々がある環境ではフルに性能を活かせないことが多くなりそうですね。

逆に、視野角が広く確保されている環境であれば、ある程度の悪天候でも十分に電波を受信しやすいことが分かったので使用時の参考になれば幸いです。

今回の検証でお借りした場所は

  • 建物や木などに遮られていない
  • 屋外
  • 高所

というStarlinkの電波状況を良好に保つのに最適な環境であったと言えます。

次は大雪の中、試験をしてみたいです☃️

免責事項

2020年03月03日時点での確認結果です。 今後のアップデートにより動作が変更される可能性があります。 今回の試験は実際のインターネット回線を使用しており、時間帯やその他の要因によって通信環境が変化する状況で実施しています。 本記事の内容は当社で実施した結果を事実として報告するものであり、触れられている機能や効果を保証するものではありません。

※本記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織の見解を代表するものではありません。

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