【BCP対策×災害】通信が切れても仕事を止めない:Starlink×Peplinkを実測データで説明

災害のBCP対策で、真っ先に弱点になりがちなのが「通信」です。
会社の回線が切れると、クラウド、決済、電話、拠点間VPN、遠隔作業など、様々な業務が止まります。だからこそ“難しい対策”より、まず押さえるべきポイントは3つだけです。
- 回線を複数にする(1本に頼らない)
- 切り替えを自動にする(人が操作しない)
- 重要な通信だけ“途切れにくく”する(全部を最強にしない)
この記事では、この考え方をベースに、Starlink(衛星回線)とPeplink(マルチ回線ルーター)を使った「災害に強い通信BCP」を、既存の実測データを交えて説明します。
1. 災害時に通信が落ちる“よくあるパターン”
災害時の通信トラブルは、だいたい次の3つに集約されます。
- 物理的に切れる:断線、局舎停電、設備故障
- つながるが遅い:輻輳(混雑)で遅延・パケットロスが増える
- 切り替えが間に合わない:バックアップ回線があっても、手動切替や復旧が遅い

BCPでありがちなのが「回線は2本あるから大丈夫」という状態。
でも現実は、“あるだけ”では足りません。切れた瞬間に自動で切り替わり、業務が続くことが大事です。
2. 災害時の通信断に強い構成:複数回線と自動切替が基本
BCPの通信は、まず“止まりにくくする”のが最優先です。
具体的にはこの順番が現実的です。
- 平常時の主回線:固定回線(光など)
- バックアップ:モバイル回線(SIM)
- さらに強くする:衛星回線(Starlink)
そして、これらを自動的に切り替える仕組みが要になります。

ここで登場するのが Peplinkルーター(マルチ回線ルーター)です。
自動切り替え時の秒数実測
① WAN(光回線など) → モバイル回線 が数秒(2~3秒程度)で切り替わり
② モバイル回線 → モバイル回線 が約10秒程度で切り替わり
実験結果引用:【検証】Peplinkルーターでボンディングを使用しなかった場合の回線切り替え速度は異なるのか?切り替え速度を検証してみた!
数秒の切替で業務が継続できる用途は多く、BCPとして実用的です。
3. Starlinkは強力な保険。でも「単体で完璧」ではありません
BCP対策で有力視されるのが「衛星回線(Starlink)」です。地上設備の影響を受けにくく、広域障害(断線・停電・基地局障害)が起きても通信経路を確保しやすいのが大きなメリットです。

一方で「衛星だから絶対安定」と思い込むのは危険です。
Starlink回線通信 実測メモ
① Starlink 単体では、微小なパケットロスが継続的に出る傾向があった
② 映像伝送の検証では、8Mbps付近までは(多少欠落しつつ)成立するが、9Mbpsを超えると支障が大きくなる傾向が見えた
実験結果引用:【検証】Peplinkルーターは途切れずに映像伝送が可能なのか?検証してみた!
この実測結果から、StarlinkをBCP対策で使う場合に必要なポイントは
「Starlinkを入れるなら、重要通信は“安定化”までセットで考える」。
4. 落ちない通信を作る:パケットコピー
災害時に「数秒の断」すら困る通信もあります。
- 対策本部の会議(音声・映像)
- 現場映像(監視・状況確認)
- 運用監視や常時稼働の拠点間通信
この手の用途は、切替だけでは足りないことがあります。
そこで有効なのが、Peplinkルーターでの パケットコピー(同じデータを複数回線へ同時送信)です。

Peplinkルーター パケットコピー実測メモ
① Starlink 1回線+LTE系2回線(合計3回線)でパケットコピーを使うと、パケットロスが出ず、8Mbps映像が欠落なく伝送できた
② パケットコピーは同じデータを複数回線に流すため、合計スループットが大きくなる点に注意
実験結果引用:【検証】Peplinkルーターは途切れずに映像伝送が可能なのか?検証してみた!
BCPのコツは「全部を最強にしない」こと。
- “重要通信だけ”パケットコピー、普段は普通にフェイルオーバー。
これが、日常におけるコストも含めて「実運用に耐える」ポイントです。
5. Starlink Miniと通常版:BCP視点の選び方(ざっくり)
Starlinkには、通常サイズと、小型の「Starlink Mini」があります。
災害BCPでは「持ち出し」「省電力」が効く場面があります。Starlink Miniはまさにそこに用いるとちょうどいいデバイスです。
Starlink 通常版とMiniの使い分け
- Starlink Mini:小型・軽量・消費電力が小さめ(非常用・持ち出し向き)
- Starlink 通常版:据え置き向き、電力は大きめ(常設向き)
- ダウンロード回線速度は 通常版 > Mini
参考記事:Starlink Miniと通常版のスループット比較!Peplink連携で安定運用は可能か?
2機種で迷ったら、判断軸はこれでOKです。
- 常設で守る(本社・重要拠点) → Starlink 通常版
- 持ち出し・予備回線(必要時に展開) → Starlink Mini
まとめ:災害BCPの通信は“3段階”で固めると失敗しない
BCP対策(災害)のポイントは、以下3つです。
- 複数回線+自動切替(Peplinkマルチ回線ルーター)で「止まりにくくする」
- Starlinkで「地上回線がダメでも逃げ道を作る」
- 重要通信だけ安定化(パケットコピー等)で「落とさない」
この順で組むと、無理なく“強いBCP通信”が組めます。
“止まらない通信”は、すべてのBCPの土台になります。
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