LTE、LTE-A、5Gの実力を比較!Peplinkルーターで視覚化する通信品質の違い

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LTE、LTE-A、5Gの実力を比較!Peplinkルーターで視覚化する通信品質の違い
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LTEは各駅、LTE-Aは特急、5Gは新幹線。

とりあえず5Gが早いということは分かりますが 実際のところ数値でどれくらい違うのでしょうか?

特に業務でモバイルルーターを導入する場合
「どの通信が自社の用途に適しているのか?」と迷ったことはありませんか?

今回の記事では、Peplinkルーターを活用して

  • 各回線のスループット比較
  • バンド帯や通信品質

を視覚的に示し、分かりやすく解説していきます!

※LTEは4G通信規格の一つです。 LTE-AはLTEを強化した規格(同じ4G)で
キャリアアグリゲーションによる周波数の束ねや、 MIMO技術により高速かつ安定した通信が可能です。

現在4G回線の多くはLTE-Aを採用しています。

実際のスループット比較検証(LTE、LTE-A、5G)

検証環境と使用ツール

場所神田
通信プロトコルTCP
使用キャリアSoftbank
docomo
測定機器データ送信側:MAX BR2 Pro
データ受信側:Blance210※EOL済み
測定日時2025/01/27 15:40~16:30
2025/01/28 07:40~09:20
測定ツールPeplink内蔵の速度測定ツール
(WAN Performance Analysis)

Peplinkには速度測定ツールが2種類あります。

  • SpeedFusion VPN Test Configuration:SpeedFusionVPNを通った時のスループット測定
  • WAN Performance Analysis:WAN回線の速度を測定

今回は後者の測定が目的なので
WAN Performance Analysisを使用してスループットの測定を行っていきます。

PeplinkルーターのWAN Performance Analysis設定画面。TCP/UDPやアップロード・ダウンロードの通信方向、測定対象のWANインターフェース、計測時間などを指定し、5G・LTE・LTE-Aの通信品質を比較するための通信試験を構成できる。
WAN Performance Analysisの設定画面
PeplinkルーターのWAN Performance Analysis機能を用いて、Cellular 2回線からリモートIPへのTCPアップロード試験を実施中の画面。スループットの推移グラフと、20秒間の通信速度結果が表示されており、通信の安定性評価を行う。
WAN Performance Analysisで測定中の画面

測定方法

各3回ずつ20秒の測定から中央値と平均値を出していきます!

LTEとLTE-Aは世界的には同じ規格”LTE”として扱われているため、
PeplinkデバイスではLTEとLTE-Aの明示的切り替えは行えません。

また弊社の環境では、docomoさんの方がLTEになる傾向が高いため、
下記のように使い分けて測定を行いました。

キャリア通信規格
Softbank5G/LTE-A
DocomoLTE

Peplinkデバイスの管理画面や管理ツールからバンド帯の確認が行えます。

Peplink MAX BR2 Proのダッシュボード画面。Cellular 2のSIMに接続中のキャリア情報、5GおよびLTEの使用Band、SINRやRSRP、RSRQなどの通信品質指標をリアルタイムに表示しており、接続先のIPアドレスやネットワーク状態の詳細確認が可能。
SIMが現在掴んでいるBandや通信品質をダッシュボード上から確認

結果の表データ

5G、LTE-A、LTEそれぞれの上り・下り通信速度(平均値・中央値)および使用Bandを比較した測定結果表。SoftBankとdocomoの回線を用いて、Band28・Band3・Band41・Band77などの周波数帯ごとの通信性能差を可視化している。
各規格での測定結果をまとめた表

下記に今回掴んだバンド帯の情報を記載しておきます。

バンド周波数帯特徴利用用途
Band 28700 MHz長距離伝搬性能に優れ、障害物を通過しやすい
カバレッジが広く、4G LTE向け周波数を5Gに転用
都市部や山間部での広範囲接続
安定した通信に適している
Band 31800 MHz中程度の通信速度
バランスの取れたカバレッジと速度
都市部でのモバイルデータ通信に多く使用
Band 412500 MHz高速通信が可能
電波の伝搬距離が短い
障害物の影響を受けやすい
高密度エリアでの利用
高速データ転送が必要な場面
Band 773700 MHz (5G)比較的高速な通信
広範囲のカバレッジ
5G通信向け
高密度エリアでの高速通信に適している

結果のグラフデータ

UP:アップロード
DL:ダウンロード

5G、LTE-A、LTEそれぞれの上り・下り通信で得られたスループット(通信速度)を、平均値と中央値の2軸で比較した棒グラフ。LTE-A DLが最も高速で、5G DLがそれに次ぐ性能を示しており、各方式の実効速度の傾向を視覚的に確認できる。
各規格でのスループット測定結果のグラフデータ

結果からの考察

ダウンロード速度についてはLTE-Aが一番早い結果となりました。

掴めているのがBand28ということもあり、
5G本来の性能には達していない(まだ本気じゃない)のでこのような結果になっています。
SAを掴める場合、さらにスループットの向上が見込めます。

アップロード速度に関しては、Band77を掴めているため5Gから明確に違いが出ている結果となりました。

この記事を作成する上でも活用した、後から通信品質や使用Bandを確認できるツールがPeplinkにはあるので、
次はそちらを見ていきましょう!

InControl2から通信品質の可視化

Peplinkデバイスを一括管理できるクラウドプラットフォームのInControl2(以降IC2)を活用すれば
通信品質を自動でグラフ化することが可能です。

  • RSRP,SINRやRSRQ
  • 掴んでいたBand
  • Latency(遅延)
  • シグナル(アンテナ本数)
  • スループット(Ver2.14.0で追加)

5Gの電波はシグナルが4本しか立っていない環境だったことも判明しました。

Peplink InControl2のWAN Quality Reportsに表示された、SoftBank 5G NSA接続中の通信品質ログ。5GとLTEのRSRP、SINR、RSRQ値の推移とともに、WAN Up/DownやOnline/Offlineのステータス変化を時系列で確認可能。5GのRSRPは-99 dBm、SINRは0 dBでFairと評価されている。
測定時の通信品質をIC2のWAN Quality Reportsから確認

より詳細な通信品質の分析をするには?

上記グラフで視覚化は出来ていますが、
より詳細な分析を行いたい場合は、データをCSV形式で取得することが可能です。

Cellular通信の電波品質などを1分単位で取得することができます。
※Starlinkのデータも詳細に取ることが可能です。詳しくはこちらの記事で解説してます。

Peplink InControl2の電波品質レポート画面。Signal Strength、Signal Quality、Latencyなどの通信状態をグラフで表示し、指定日の測定データをCSV形式でダウンロード可能。しきい値超過を赤色背景で示し、300msを基準にレイテンシを評価している。
電波品質の結果DL画面

しかし用途によっては

  • もっと細かい間隔でデータを見たい!
  • パケットロスの値まで確認をしたい!

という要望もあると思います。

そんな時はAPIを活用すれば可能です!使い方については下記記事をご参照ください。

まとめ

今回の環境では、掴めた5GのBandが28だったため、5Gの本領発揮とはいきませんでした。
しかし試験結果や使用可能なBandを総合的に見ると、以下のような傾向が確認できます。

  • LTE は広範囲をカバーできるため、高度な通信性能を必要としない日常的なタスクやIoT用途に最適。
  • LTE-A はより大容量のデータ通信が可能で、FullHDの映像配信などにも活用できる。
  • 5G自動運転、遠隔医療、産業用途 など、高速・低遅延が求められるシチュエーションで特に価値を発揮。

5Gのカバーエリア拡大やミリ波の導入が進めば、さらに真価を発揮できる機会が広がります!

また、各通信技術を比較すると以下のようになります。

通信規格高速・低遅延コストカバー範囲将来性
LTE
LTE-A
5G

最近はPeplinkルーターの導入を検討するお客様の多くが、
将来性を考慮し、LTE対応から5G対応ルーターへ切り替えを進めています。

特に長期間の運用を前提とする場合は、LTE-Aや5G機種の導入が有効 です。

Quick Q&A

Q. Peplinkに回線の制限は?ボンディングする際の組み合わせ制限は?
A. ありません。光回線でもStarlinkでも使用可能です。Starlink×2台やStarlink×SIMでのお問い合わせが増えております。Starlink記事はこちらから

Q. LTE-AとLTEはどう違うの?
A. LTE-Aはキャリアアグリゲーションなどにより、LTEより高速で安定した通信が可能です。規格上はLTEとして扱われています。

Q. この測定ツールは無料で使える?
A. Peplinkルーターに内蔵されている機能なので、Peplinkルーターをお持ちの方は無料で使用が可能です。

免責事項

2025年01月31日時点での確認結果です。 今後のアップデートにより動作が変更される可能性があります。 今回の試験は実際のインターネット回線を使用しており、時間帯やその他の要因によって通信環境が変化する状況で実施しています。 本記事の内容は当社で実施した結果を事実として報告するものであり、触れられている機能や効果を保証するものではありません。

※本記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織の見解を代表するものではありません。

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