SIMは手元に、ルーターはベストポジションに――遠隔管理を加速させる『SIM Injector』とは?

通信トラブル時に現地へ行かず、SIMを差し替えたい――
車載、船舶、屋外設備といったモビリティ環境で、
「電波環境の良い場所にルーターは設置したい。でもSIMカードの差し替えや管理が不便…」
そんな課題を感じたことはありませんか?
Peplinkの「SIM Injector」は、こうしたニーズに応えるために開発されたデバイスです。
ルーター本体は屋根上や船のマストなど、電波状態の良い場所に置いたまま、SIMカードは離れたアクセスしやすい場所に設置可能。
PoE対応のLANケーブル1本でルーターとSIMを接続できるため、現地作業やSIM交換の手間を大幅に削減できます。
さらにクラウド管理ツールInControl 2と組み合わせれば、SIMの差し替えや設定変更もすべて遠隔から操作可能。
通信パフォーマンスの最適化やトラブル対応もスムーズに行えます。
SIM Injectorとは?
SIM Injectorは、Peplinkが提供する遠隔SIM管理用のアクセサリデバイスです。
SIMスロットをルーター本体から切り離し、LANケーブル1本で遠隔からのSIM管理を実現します。
SIM Injectorの接続について
1. LAN to LANの直接接続
SIM Injectorの接続方法は色々ありますが、例として標準的な接続方法でまずは設定手順を見ていきましょう。
該当のPeplinkルーターとSIM InjectorをLANケーブルで繋げるだけです。
繋げる時はLANポートに接続します。


SIM Injectorの設定は使用するPeplinkルーターのWebAdmin側で行います。
WebAdminのAdvanced>RemoteSIM Managementを開き、右側の赤色のチェックボックスを開きます。

Auto LAN Discoveryにチェックを入れ、右下のSaveボタンをクリックします。

Auto LAN Discoveryを有効化
WebAdmin右上のApply Changesをクリックします。

次に、WebAdmin上部メニューのダッシュボードに戻り、設定したいCellularプロファイル名をクリックします。

下にスクロールすると各メニューが表示されますが、中腹にCellular Settingsが出てくる為、”RemoteSIM”を選択します。
RemoteSIM Settings欄の下部にある”Scan nearby remoteSIM server”をクリックすると
SIM InjectorのS/Nが出てくる為、チェックを入れて”Update RemoteSIM Settings”をクリックします。


Cellularのプロファイル一番下にあるSave and Applyをクリックすると保存と適用がされます。

ダッシュボード上で数十秒前後(通信品質やルータースペックにより前後有)経過すると
下記のようにPeplinkルーター本体にSIMが入っていなくても、SIM InjectorのSIMが使用できます。

SIMが繋がらなかった場合
最初に設定したWebAdminのAdvanced>RemoteSIM Managementに新たな項目が表示されています。
Add RemoteSIMをクリックするとSIM Injectorの各スロットのSIM設定を変更出来ます。

初回はSIM InjectorのS/N入力が必要です。
SIM Server – Serial Number: | SIM InjectorのS/N 12桁を入力 |
SIM Server – Name: | 任意名称 |
SIM Slot: | 設定するSIMスロット |
SIM Slot – Name: | 任意名称 |
Operator Settings: | Custom |
後はSIMのAPN・ユーザー名・パスワードを入力したら右下のSaveボタンをクリックします。

WebAdmin右上のApply Changesをクリックして設定を適用します。
その後、ダッシュボードに戻りSIMが繋がる事を確認します。

2. 遠隔接続の場合
離れた場所に設置したSIM Injectorを、固定グローバルIPを持つBalanceルーター経由で、MAX BR2から遠隔で利用する構成です。
SIM InjectorはBalanceルーターとLANケーブル1本(LAN to LAN)で接続されており、ルーター側からはRemote SIM Managementを通じてSIM InjectorのSIMを認識・利用できます。
この場合でも、MAX BR2側にオンラインのWAN回線が1本でもあれば、SIM Injectorを介した通信が可能です。

SIM InjectorをBalanceルーターに繋げた為、現在は下記構成となっています。

次にBalanceルーター側のWebAdminのダッシュボードで、固定グローバルIPのWANのIPアドレスを確認します。
MAX BR2側のWebAdminのAdvanced>RemoteSIM Managementを開き、右側の赤色のチェックボックスで 最初は空欄だった部分に該当のIPアドレスを入力して、設定します。
設定後はWebAdmin右上のApply Changesをクリックし、ダッシュボードで各Cellularが接続出来る事を確認します。

まとめ
この記事では、Peplinkの「SIM Injector」を活用することで、物理的なSIMカード管理の手間を大幅に削減し
通信環境の柔軟性や運用効率を向上させる方法について解説しました。
ポイントを振り返ると、以下のようになります。
- SIM Injectorとは? ルーターとSIMカードの設置場所を分離し、離れた場所からSIM管理を可能にするデバイスです。
- LAN to LANでの簡単接続 ルーターとの接続はLANケーブル1本。PoE対応で配線もシンプルです。
- WebAdminによる簡単設定 リモートSIM管理の設定を行い、複数のSIMカードを遠隔で切り替えることができます。
- 運用の省力化と迅速なトラブル対応 InControl 2との連携により、現場に行くことなくSIM交換や設定変更が可能。 トラブル発生時の対応時間を短縮し、通信の安定性を確保します。
このように「SIM Injector」を導入することで、これまで手間だったSIM管理の負担が軽減され、よりスムーズな通信環境の構築が実現できます。
特に、車載・船舶・遠隔地拠点、監視カメラ、イベント・災害現場に仮説オフィスなど、アクセスが難しい環境での効果は絶大です。
「SIM Injector」やPeplink製品について、「もっと詳しく知りたい」「実際の導入を検討している」という方は、ぜひ以下からお気軽にお問い合わせください。
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