【Peplink入門】初めに知っておきたい”安定”通信を作る技術

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光回線を敷設できない場所だけど安定した通信が求められている、、

こんな通信の安定性に関する課題を抱えていませんか?

弊社が扱っているPeplinkは、光回線や携帯電話(ドコモ、auなど)、Starlinkといった
複数のインターネット回線を1つに束ねることでこうした課題を解決する特別なルーターです。

この記事ではなぜPeplinkが途切れない安定した通信を実現できるのか
その仕組みを分かりやすく解説します。

【こんな人に向いています】

✅ 拠点間でのライブ配信・Web会議がある

✅ 建設現場やイベント会場で通信が不安定

✅ 管理者が少ないため遠隔操作が必要

✅ 通信が止まることで大きな損失が出る

✅ 光回線が敷設できない環境で安定通信を実現したい

PeplinkのSpeedFusionとは?

SpeedFusion(SF)を一言でいえば

Peplinkルーター同士を繋いで、通信を安定させるための技術の総称です。

この技術の最も重要なポイントは、通信の「入口」と「出口」の両方にPeplinkルーターが必要だという点です。例えば、東京本社と地方の建設現場を繋ぐなら、両方の拠点にPeplinkを設置します。

SpeedFusionの基本構成図。東京本社のPeplinkルーターが光回線に、建設現場のPeplinkルーターがStarlinkとSIMに接続し、2拠点間を「SpeedFusion VPN」の仮想トンネルで結んで回線を冗長化している様子。
SpeedFusionの基本構成図

なぜならPeplink独自のSpeedFusion VPN(SFVPN)という技術で、2拠点間に安全な仮想トンネルを構築するためです。 他社ルーターでは、この特別なトンネルを作ることができません。

そしてこのトンネルの中で、下記のような様々な安定化技術を用いることが可能です。

  • 複数回線を束ねて帯域幅や安定性を広げる<ボンディング>
  • データを複製して途切れを防ぐ<WAN Smoothing:パケットコピー>
  • データ欠損時に復元する<FEC>

次はこのSpeedFusionを実現するために、

どのような種類のPeplinkルーターがあるのかを見ていきましょう。

SpeedFusionをさらに深堀した内容が知りたい方は下記記事をご覧ください

**準備中**

利用できる3つのPeplinkルーターのタイプ

ルーター

建設現場やイベント会場、中継車など、実際にインターネット回線を集約したい場所に設置するハードウェアです。

周辺機器との接続もでき、複数のSIMカードやStarlink、有線LANなどをこの一台に接続し、SpeedFusion VPNからデータを送り出すことができます。

黒い筐体に複数のアンテナを備えたペプリンク社の5G対応物理ルーター「Peplink B one 5G」。SpeedFusion技術を利用する際の拠点側・現場側の双方で基点となるハードウェア。
物理ルーター:B one 5G

FusionHub

サーバー上にインストールして使うソフトウェアタイプです。

AWSのようなパブリッククラウド上、あるいは自社データセンター内のサーバー(オンプレミス)の どちらにも設置できるため、自社で柔軟にハブを構築したい場合に適しています。

クラウドや自社サーバーにインストールして利用するペップリンク社の仮想アプライアンス「FusionHub」の公式ロゴ。SpeedFusionのVPNハブとして機能する。
仮想アプライアンス

SpeedFusion Connect(SFC)

Peplink社がクラウド上で提供・管理している従量課金制のサービスです。
サーバー管理などの専門知識が不要で、手軽に安定通信を実現したい場合に最適です。

ペップリンクが提供するクラウドVPNサービス「SpeedFusion Connect」の公式ロゴ。専門知識がなくても簡単に拠点間接続ができる手軽さを示している。
クラウドサーバー

各Peplinkルーターの比較

タイプ役割こんな場合に最適スループットSpeedFusionVPNの構築
ルーター
(ハードウェア
)
現場で回線を束ねる周辺機器と連携して使いたい
回線を集約したい
複数の回線を使い分けたい
デバイス依存
詳しくは
こちら
誰とでも可
FusionHub
(FH)
拠点で通信を集約する(自社管理)ネットワークを細かく管理したいEC2などのスペック依存
詳しくは
こちら
物理・FHとのみ可
SpeedFusion Connect
(SFC)
拠点で通信を集約する(お任せ)専門知識なしで、とにかく簡単に始めたい200~400Mbps
詳しくは
こちら
物理デバイスとのみ可

Peplinkの安定性を支える3つの武器(ボンディング、パケットコピー、FEC)

SpeedFusionの特別なトンネルの中では、通信を安定させるために主に3つの技術(武器)を活用することができます。

それぞれの得意なことを例えで見ていきましょう。

ボンディング:回線を束ねて道を広くする

例え: 1車線の一般道が、3,4車線の高速道路になるイメージです。

複数回線を束ねて1つの論理回線として扱います。

  • 速度アップ: 各回線を合算し、通信を行います。オーバヘッドを加味しても速度アップが期待できます。
  • 瞬断防止: もし1本の回線がダウンしても、残りの道(回線)で通信を続けることが可能です。
Peplinkのボンディング技術を高速道路で例えたイラスト。1車線の道路が4車線の広い道路になり、複数の車が同時に走行している。複数のインターネット回線を束ねて通信速度と安定性を向上させる仕組みを表している。
ボンディングで使用できる回線が増えたイメージ

ボンディングを行って箱根山から映像配信した検証も行っています。

気になる方は下記記事をご覧ください。

WANSmoothing(パケットコピー):同じ荷物を2個送り、確実性を高める

例え:絶対に欲しい商品を「Amazon」と「楽天」の両方で注文するようなものです。先に届いた方を使い、もう一方は捨てます。

Web会議の音声など、絶対に失いたくない重要なデータを複製し、別々の回線で同時に送信します。 どちらかの通信経路でデータが消えてしまっても、もう片方が届けばOKという考え方です。

PeplinkのWAN Smoothing(パケットコピー)技術を解説するイラスト。男性が同じ商品を2つのお店で注文し、先に届いた方の荷物を受け取る様子。重要なデータを複製して別々の回線で送り、通信の途切れを完全に防ぐ仕組みを表現している。
パケットコピーで費用は2倍かかるが絶対に届けるイメージ

FEC(フェック 前方誤り訂正):予備パーツを入れる

例え:予備パーツをいくつか送ることで、欠損に備えておきます。

元のデータに加えて、失われたデータを復元するための「修復用データ」を少しだけ追加して送ります。 これにより、パケットを丸ごと複製するよりも効率的に、通信エラーからの復旧が可能になります。

PeplinkのFEC(前方誤り訂正)技術を、機械部品と予備パーツに例えたイラスト。輸送中に部品がいくつか欠損しても、同梱された予備パーツで機械を組み立てられる様子。少量の修復用データを追加することで、パケットロスから通信を復元する仕組みを表している。
FECで少量のパケットロスをカバーするイメージ

パケットコピーとFECについてさらに深堀した内容が知りたい方は下記記事をご覧ください

**準備中**

単体でも使える回線切り替え(フェイルオーバー)

ここまでご紹介したSpeedFusionは2台以上のPeplinkデバイスが必要ですが、

ルーターが1台だけの環境でも、Peplinkはその真価を発揮します。

それがメイン回線のダウンを検知して、瞬時にバックアップ回線へ切り替えるフェイルオーバー機能です。

切り替え速度の検証は下記記事からご覧ください。

使い方は簡単で、下の図のように「どの回線を優先して使い(Priority 1)、どれを予備にするか(Priority 2)」をあらかじめ設定しておくだけ。もしメイン回線に何かあれば、ルーターが自動で予備回線での通信を開始します。

Peplinkルーターの管理画面で、回線のフェイルオーバー(自動切り替え)を設定しているスクリーンショット。WAN接続のリストが表示され、「Cellular 1」が優先度1で接続中、「Cellular 2」が優先度2で待機中となっており、メイン回線がダウンすると自動でバックアップに切り替わる仕組みを示している。
Peplinkのダッシュボード画面:回線の優先度表示

ただ切り替わるだけじゃない!品質での切り替えも可能

Peplinkが優れているのは回線が完全に切れていなくても、電波が弱くなってきたといった通信品質の低下をトリガーに切り替えができる点です。

「電波がX本以下になったら、予備の回線に切り替える」といった設定をしておくことで、弱った回線を我慢して使い続けるというストレスから解放されます。

Peplinkルーターの「Signal Threshold Settings」画面のスクリーンショット。電波強度のバーとスライダーで、通信品質が設定した閾値(しきいち)以下に低下した場合に、自動で他の回線に切り替える「品質ベースのフェイルオーバー」機能を表している。
電波強度で使用するかしないかの設定を行う画面

各機能のユースケースまとめ

機能名SFVPNの
必要有無
増加する
通信量の目安
メリットユースケース記事
ボンディング必須+19%複数の回線を束ねて帯域幅を増やし、1回線が切れても通信を継続できる。箱根記事
WAN Smoothing
(パケットコピー)
必須+100%~データを複製して送ることで、パケットロスを極限まで防ぐ。NetOneとの共同検証記事
FEC
(フェック 前方誤り訂正)
必須+0~26%少ないデータ量でパケットロスを修復し、品質を維持する。
フェイルオーバー不要なしメイン回線が切れたり、品質が落ちた時に、自動で予備回線に切り替える。切り替え速度検証

NetOneとの共同検証記事

おわりに

ご覧いただいたようにPeplinkは単なるルーターではなく通信の安定性を確保し、ビジネスの機会損失を防ぐための強力なソリューションです。

  • Web会議やライブ配信など、リアルタイム性が重要な業務に
  • 通信が不安定な現場や、BCP(事業継続計画)対策として

さらにPeplinkの価値をもう一段階高めるのが、 クラウドから全デバイスを遠隔管理できるプラットフォームInControl2の存在です。

お客様先に設置したルーターの設定変更やトラブル対応も、 移動時間やコストをかけずに、オフィスのPCから数クリックで完了させることができます。

つまりPeplinkは「通信の安定化」と「運用管理の効率化」を同時に実現することができるソリューションです。

この記事を読んで「あの顧客の課題を解決できるかも」「自社のこの部分に使えるかも」と感じた点があれば、ぜひ一度チームで話してみませんか?

より詳しい情報やデモのご希望など、お気軽にお声がけください。

Q&A

Q1:WAN Smoothing(パケットコピー)とFECは、どう使い分ければいいの?

A1:これは確実性と効率のトレードオフで考えます。

パケットコピーは途切れさせたくない役員会議のWeb会議有料のライブ配信など、コスト(データ通信量)がかかってもいいから、より安定性が欲しい場面で使います。

FECはデータ通信量はなるべく抑えたい、でも通信品質は改善したい場面で活躍する、より効率的な方法です。

Q2:100Mbpsの回線を2本束ねたら、通信速度は単純に200Mbpsになりますか?

A2:SpeedFusionVPNを通るトラフィックは19%のオーバーヘッドがかかるため、200Mbpsとはなりません。この辺りの仕様について詳細が知りたい方はこちら(準備中)の記事をご覧ください。

Q3:設定は難しい?専門の技術者じゃないと無理?

A3:コマンドなど叩かず、ブラウザから設定することができます。日本語マニュアルもありますし、こちらのブログでも随時機能紹介記事などを更新していきます。

またSFCを使用する場合、数クリックでSpeedFusionの冗長化を使い始めることが可能です。

Q4:絶対に2台以上必要なの?1台だけでは意味がない?

A4:1台でも価値があります。

複数の回線を束ねるボンディングWAN Smoothing(パケットコピー)といったSpeedFusionの強力な機能を使うには、トンネルの入口と出口になる2台以上が必要です。

しかしルーター1台だけでも、メイン回線が切れたり品質が落ちた時に、瞬時にバックアップ回線へ切り替わる「フェイルオーバー」機能が使えます。 これだけでも、一般的なルーターに比べて格段に通信は安定します。

Q5:価格や保守、サポートとかはどうなの?

A5:弊社のホームページAmazon販売ページから一部ご覧いただけます。より詳しい情報はお気軽にお声がけください。

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